amazonギフト券やiTunesカードなどの多くの方が利用している電子マネーは利用価値も高く現金化することもできます。
そういった点から携帯決済を利用し電子マネーを購入、換金する現金化は有効な資金調達方法といえるでしょう。
このクレジットカードに代わる新たな決済方法となる携帯電話のキャリア決済はスマホさえあれば誰にでも利用可能である反面、不正に利用することができれば多数の被害者が出るという弱点があるのです。
以前から他人によるなりすましなどクレジットカードに関する不正使用の事件は幾度となく起きておりますが、これまで携帯キャリア決済を不正に使用する事件はありませんでした。
ところが先日、他人の携帯決済を使用し電子マネーを購入。
そして電子マネーを現金化していた容疑者が逮捕された事件がありました。
ではこの他人の携帯決済を使用し不正に電子マネーを購入、現金化した事件とは一体どのような内容なのでしょうか?
クレジットカード同様、携帯決済も不正利用されるワケ
20年以上前からクレジットカードが不正に使用される事件は存在しており、現在でもまだ身に覚えのない請求がクレジットカード会社から届くことは少なくありません。
クレジットカードが他人に使用されてしまうケースというのはいくつかあり、
- 盗難や紛失したクレジットカードの使用
- 偽造クレジットカードの使用
- クレジットカード情報でのネット決済
などの手口でクレジットカードで買い物され請求が届くことになります。
その昔は不審なお店でクレジットカード決済をしなければ不正にクレジットカードが使用されることはありませんでしたが、近年ではオンライン決済が可能なインターネットサービスが普及しておりクレジットカードがなくてもカードの情報だけで不正使用されるケースが急増しているのです。
ではクレジットカードのように後払いで決済できる携帯電話のキャリア決済はどうなのかといいますと、クレジットカードのようにカードでの決済はできません。
そのため携帯決済の偽造や盗難といったことはありえない話しとなりますが、どのようなシーンで不正に利用されてしまうのでしょうか?
まず携帯電話のキャリア決済と聞くと携帯電話やスマートフォンが必要不可欠に感じる方は少なくありませんが、厳密に言いますと携帯電話本体は必要なく決済することができます。
これはどういうことかといいますと、たとえばドコモのキャリアを利用している方でしか取得できない@docomo.ne.jpというメールアドレスですが携帯電話だけではなくパソコンからも閲覧及び送受信することは可能です。
ただドコモとの契約をしなければ使用することはできません。
そしてキャリアのメールアドレスと同じようにキャリア決済も契約を結べば決済することはできるのです。
この携帯電話がなくても買い物ができる携帯決済を不正に使用した事件といえるでしょう。
携帯決済を使用するために必要なモノとは?
お店で買い物をする際にクレジットカードで支払うことは珍しくありませんが、最近ではレジの一部にスマホを置き支払いをしている光景を見かけます。
このスマホでの決済は携帯電話にチャージされている電子マネーでの決済であり、キャリア決済とは異なるものです。
では携帯キャリア決済を使用するには何が必要なのかといいますと
- 携帯電話・スマホ
- タブレット端末
- パソコン
のいずれかがあれば決済することができます。
つまりインターネットと接続することができる機器があり、ネットサービスを利用できる環境であればよいといえるでしょう。
携帯決済はオンライン専用の決済方法であり、コンビニや家電量販店などのリアル店舗での支払いでは使用することはできません。
では携帯決済はどのように使用するのかといいますと、携帯決済での支払いが可能となる
- Amazon
- 楽天市場
- Yahooショッピング
などのショッピングサイトでの買い物の支払い方法で「携帯決済」を選択します。
ここから各キャリアのページに移動し
- ログインID
- パスワード
- ネットワーク暗証番号
といった決済に必要な情報を入力すれば決済が完了し注文が確定することになるのです。
したがって携帯決済をするための必要なのは各キャリアのページで決済する際の情報のみということになります。
携帯決済を不正に使用した詐欺容疑者逮捕のニュース
携帯電話会社のインターネット決済サービスに不正に接続し、電子マネーをだまし取ったとして、道警に逮捕された水戸市の男が、ネット上の「個人間融資掲示板」を悪用して「1千万円ほど稼いだ」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。掲示板は多重債務者らが借入先を探す手段になっているが、現金や個人情報をだまし取られる被害が相次ぐ。掲示板に対する法的規制はなく、専門家は「犯罪の温床になっている」と指摘する。
「家族にも相談できず、追い詰められ掲示板にすがったが間違いだった」。男に個人情報を悪用された函館市の40代の男性はそう悔やんだ。男性は取引先の倒産で200万円が回収不能になり、ネットで現金の貸し借り相手を探す個人間融資掲示板に頼ったという。
道警によると、不正アクセス禁止法違反容疑などで3日に逮捕された薗田徹(38)、吉井学(39)両容疑者=いずれも水戸市=は1月、男性の携帯電話のIDとパスワードを使い、ネット決済サービスに接続。電子マネー4万8千円分を購入し、だまし取ったとされる。薗田容疑者は容疑を認め、吉井容疑者は「薗田容疑者の指示で金を引き出しただけ」と否認している。
2人は男性の依頼に応じるよう装い、実際には融資せずに「本人確認」の名目でIDとパスワードを聞き出した。不正購入した電子マネーは転売して現金化。口座には約300回の入金記録があり、捜査関係者は「金策に苦しむ心理に付け込み、同様の手口を繰り返していた」とみる。
今回の事件が起きる舞台となったのはインターネット上で書き込みができる掲示板です。
しかも掲示板の内容はといいますと、個人間での融資をするためのお金を借りたい人と貸したい人が書き込みをする場所であり、真っ当な暮らしをしている方は踏み込むことのない領域といえるでしょう。
一般的に「お金を借りたい」と考えるのであれば銀行のカードローンや消費者金融から借り入れをすれば済むことです。
つまりそういった普通の金融機関からは相手にされない多重債務者やブラックの人間がお金を借りるための場所ということになります。
当然ながらまともなところからお金を借りることができない方にお金を投資する人はいないでしょう。
ではどのような人間が債務者の相手をしているのかといいますとヤミ金融や詐欺といったアンダーグラウンドな人間となります。
そんな個人間での融資を装い詐欺をしていた今回の事件はどのような内容だったのでしょうか?
個人融資を装い電子マネーを詐取した巧妙な手口
消費者金融の借り入れもクレジットカードでのキャッシングもできない方にとってお金を工面する方法というのはまずありません。
したがってたとえ法定利息の数十倍という超高金利であってもお金を借りることができるのであれば借り手しまうことになるでしょう。
そしてその相手が詐欺だったとしてもお金がない人間から奪えるものなど何もありません。
ところが今回の事件ではどこからもお金を借りることができない多重債務者を騙し電子マネーを詐取したのです。
ではどのような手口なのかといいますと、まず掲示板に書き込まれている融資を求める投稿に返信します。
そして融資を行うための確認事項として
- 自宅の住所や電話番号の確認
- 身分証明書の提示
- 勤務先の確認
といった消費者金融でもあるような融資をするための確認を行いさらに携帯決済に必要となる情報を提示させるのです。
お金を借りたい人からすれば融資を受けるためであればどんな個人情報でも簡単に提示するでしょう。
しかしそこに盲点があり電子マネーを詐取される結果を招くことになるのです。
結論としてはそもそも詐欺を行う目的で融資を装っているので当然、お金を貸すことはありません。
そして聞き出したキャリアの携帯決済をするためのIDやパスワードを使用しamazonギフト券などの電子マネーを購入し現金化していたのです。
現在はPINCOMではamazonギフト券を購入することはできませんが、事件当時はまだ販売されておりメールアドレスと携帯決済に必要な情報だけでamazonギフト券が購入できるPINCOMが利用されていたものと思われます。
実は携帯決済というのは意外と知名度は高くはなく、お金を借りることができない方でも利用することが可能です。
そのためこの容疑者は多重債務者に対し融資を装い携帯決済に必要な情報を聞き出しamazonギフト券を購入、現金化していました。
そして融資をお願いした債務者はお金を借りることなく、通常よりも5万円近く高い携帯電話料金を支払わなければなりません。
クレジットカードが不正に利用された場合には所有者に落ち度がない限り支払いが生じることはありませんが、今回の事件では携帯決済に必要な情報を提示しています。
つまり銀行の暗証番号を伝えて預金を引き出されたようなものであり、落ち度がないとはいえないため電子マネーを購入された料金は請求されることになるでしょう。
今回の事件では個人間融資掲示板という一般の方が利用することのないサイトでの事件ですが、今後の詐欺の手口としてこのような携帯決済情報を聞き出す詐欺の手口は増加していくのではないでしょうか?
少なくとも携帯決済情報にもセキュリティ対策が必要となります。
もしかしたらこのような詐欺事件の影響でPINCOMはamazonギフト券を販売中止になったのかも知れません。